書くことがない…に陥らない!評価の「補助簿」活用技&実例紹介     

日々の授業の記録から

   テストの記録は、しっかりとっている。それは、数値として。
 日々の授業や子どもの活動の姿は、確かにある。それは、記憶として。
 記憶を記録として残すことは、教師としての実践の振り返りを行い自分の力量を高めていくだけでなく、当然のこととして、子どもの姿を保護者に伝えていく補助簿としての役目も果たす。
 私は、日々の記録を
 ・ボイスレコーダーによる「授業の録音」
 ・いつも手にしている「座席表」への記入
で行っている。
 そして、これらをもとに学級通信を作成し、通知表だけでなく、常時子どもの様子を保護者に伝えている。
 学級通信は、全体像を。
 通知表は、個人の姿を。
 学級全体の中での個の姿を伝えておくことは、通知表での個の評価の位置づけを暗に伝えておくことにもなる。
 自分の子どもの姿しか見ていない保護者が通知表の評価に不安や疑問を覚えることになるのは、ある面当然の姿と言える。

 

 授業記録をもとにした通知表の言葉
 二年国語「かんさつ名人になろう」            光村図書
  教科書の本文を読んで観察文の書き方について気づいたことを発表する場面で………
┌─────────────────────────────────────────┐
│ ……つぎに、のばしたところをちぢめながら、まえへすすみました。              │

 │そのとき、うしろは、しっぽのようにのびていて、体をささえているのに気がつきました。 │
 └─────────────────────────────────────────┘
『気がつきましたって、わざわざ書かなければいけないのは、どういうこと? 体をささえていました。では、だめなの?』       『』沼澤
(だめ)
M(気がついたの。じっと見てて、あっと思って、気がついたの。)
『気がついたの。ここが、体をささえていました。だけだったら?』
U「最初は、気づいていなかったのに、気づいたの。今、気づいたことにならない。」
『すごいことを言っているなあ。しっぽのようにのびて、体をささえているのを気づいたのね。最初は何でのびているのか分からなかったけど、見てはいたんでしょう。何でそうしているのかってことに気がついたから、気がつきましたって書いてあるのね。』
H「体をささえていましたでは、だめだと思います。なぜかというと、一番大事なことがわからなくなるから。」
『何が一番大事なの?』
H「気がついたところを書かなかったら、ちょっとおかしい。」
『しっぽのようにのびていましただけだったら、何のためにしているのか分からないのね。だから、ここに気がついたことをあらわしているんだね。』
                *
 Hくんの発表は、他の子との流れの中から生まれたものであり、確かな気づきである。言葉少ない部分を担任が補い意味づけを行い授業の流れを学級通信に載せた。
 これは、通知表には、
┌─────────────────────────────────────┐
│観察文では、その書き方の工夫に気づき発表することができました。                         │
└─────────────────────────────────────┘
と抽象的に書くのではなく、前時の授業でも観察文の書き方について指摘していたHくんであったから、
┌─────────────────────────────────────────────┐
│体をしっぽのようにのばして動いているかたつむりの動きを表した文では、それが体をささえている│
│動きに対する気づきを表していることを観察文の書き方に注目して発表することができました。     │
└─────────────────────────────────────────────┘
と具体的に書いた。
  本校では、個別懇談で直接保護者に通知表を手渡している。保護者の方は、発表の流れの全体を学級通信で読んでいるので、補助簿をもとにした所見から、教室で素敵な友達と一緒に学べることに感謝される。懇談は、明るい雰囲気で進むことになる。
 

 

                  授業力&学級統率力(明治図書)2012 11月号   評価の「補助簿」活用技&実例紹介