教科の学習で「はてな?」発見技能の開発
「はてな?」発見力をつける「はてな帳」の追試
「はてな?」を見つけさせるには、有田和正先生の「はてな帳」の実践が有名である。追試者も多い。
それは、名人の追試に間違いはないという思いから、自己満足に浸りながら比較的安易に行える。しかし、意外に成果が見られない。名人でない自分の非力を感じて追試をやめる。
そういう経験はないであろうか。
「はてな帳」の追試をするならば、次のことに心がけなければいけない。
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│①授業で「はてな?」発見の場面をみんなで共有する。 │
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一枚の絵から3つの「はてな?」を見つけて書かせる有田実践は有名である。「はてな?」発見の楽しさを実感させるのである。この段階を楽しませずに家庭で見つけて書いてくることを強制(?)するのは教師の横暴である。
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│②授業のオープンエンド化 │
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授業を開いて終える。まとめて終えるのではなく、疑問を残して終える。その後の追究を「はてな帳」に書かせる。その中で、新しい発見、「はてな?」に教師が光を当てる。子どもの無意識の「はてな?」を拾い上げる。
有田学級の子ども達の追究が多様なのは、個々の子どもの遊び心から始まったような自由な追究にまで、有田先生が光を当てて楽しみながら支えているからである。
追究を認め、広めるために、
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│③「はてな帳」の発表の場を設定する。 │
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有田学級では、給食の時間に発表する場が設定されていた。昨日書いてきたものを、新鮮なうちに学級全体に広めさせる。発表者の意欲を高め、個々の追究につながりをつけていく発表の場は必要である。
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│④教師自身が誰よりも興味を持って子どもの追究を楽しみ、 │
│ そして、自ら追究の楽しさを語る。 │
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追究することは楽しい。その出発点となる「はてな?」発見は、この上ない喜びである。そういう姿を、教師の体全体から感じ取らせていく。
⑤ユニークな表現を楽しむ。
⑥おたよりノートとの関連。
⑦発表の根拠となる証拠を求める。…………
「はてな帳」から有田学級を見ると、様々なものが関連していることに気づかされる。教室と家庭での生活全般が「はてな帳」によって統合されている。
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有田先生は、公開研究会当日の朝でさえ、子どもたちの「はてな帳」を読んでおられた。それは、楽しみとなり、喜びとなっているように感じられた。
大きな根っ子がそこにある。
これらを通して、子ども達にとって「はてな帳」が空気のような存在になったとき、その追究は多様に広がり、個性的な「はてな?」が登場する。
「はてな?と思うことを見つけて書いてきなさい。」という形式では語れないものがそこにある。
「授業のネタ 教材開発」(明治図書)2001 6月号