学級通信メンチカツ №64 2001年 8月27日(月)
スクリーン!
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│ そう多くの人の目に触れる冊子ではないが、小社広告局が発行する「オ│
│ッホ」の今月号で、映画監督の大林宣彦さんがクイズを出している。 │
│「一時間半の映画でスクリーンに絵が映っている時間は何分か」 │
│ 正解は50分だそうだ。映写機は1秒間に24回まばたきするが、シャッ │
│ターが閉じてフィルムが入れ替わるのに9分の4秒かかる。1時間半のう │
│ち40分間、観客は闇を見ているのだという。
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│ この闇を大林さんは、文章に例えて〝行間〟と表現し、観客に行間を読│
│ませるのが演出だと述べている。9分の5の映像が物事の「記録」だとす │
│れば、9分の4の闇はその記録を心の内に投影する「記憶」の時間である、│
│とも。
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│ 人も情報も高速で動く今、記録と記憶のバランスはどうだろう。目的地で │
│の見聞、ネットや携帯電話の情報が大量に記録される一方、それをゆっく│
│り味わう記憶の時間が失われつつあるようにも感じられる。 │
│ ファストフード全盛の中、食事に時間をかける「スローフード」が関心を集│
│めているのは、その反動でもあるのだろう。時間をかけて走る寝台特急が│
│人気の理由も同じに違いない。
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│ 夏休みは「ゆっくり」を楽しむいい機会だが、今年は台風に邪魔された。│
│時速20キロほど、自転車並みの縦断が被害を大きくした。こちらのユック │
│リズムはありがたくない。
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読売新聞 編集手帳 2001年8月23日(木)より
休み中に子どもをつれて「千と千尋の神隠し」を見てきました。
きれいな映像と音楽、そして感動的なストーリーでした。
(1年生の息子はおばけが怖くてほとんど泣いていましたが。)
約2時間、5年生の娘は、あきずに見ていました。
2時間のうちの53分間は、闇を見ていたことになります。
人間の目が鈍感でよかった!
その一瞬の闇を見る目がそなわっていたら、テレビも蛍光灯も使い物になりません。おもしろいものです。