地図帳の使い方を深めるネタ
地図帳を開かせるには
地図帳の使い方の学習については、
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│ 「生きる力」を育む社会科授業 有田和正著 明治図書 │
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での有田先生の飛び込み授業の記録を参考にして頂きたい。私のクラスで行って頂いた授業の記録である。未熟な担任のクラスでも、指導者が良ければここまで子ども達が食いつくという見本である。教材のすばらしさは勿論のこと、子ども達に気づかせながら進めていく有田先生一流の進行であった。
地図帳の使い方を学ばせるには、この有田実践を追試すべきである。
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しかし、問題はこの次である。「理解」は繰り返すことによってこそ確かな技能となって身についていく。
子どもたちの地図帳の使い方の技能を高めるには、確かな使い方の指導と、それを使う回数をいかに多くもたせるかである。
時と場所を選ばない
地図帳は、社会科の時間で使う物という固定観念を崩す。国語や道徳……どの教科でも当たり前のように使わせる。地図帳が空気のような存在になってこそ本物と言えるのである。
では、子ども達が喜んで地図帳を開くようになる例を一つ。
※おみやげ攻撃!
何のことはない、出張で県外に行ったときなど、おみやげを買ってくるのである。
『先生は、静岡に行って来ました。おみやげを買ってきたのだけれども、ほしいですか?』
「ほしい~」
『何を買ってきたか当てたらあげましょう。』
索引から静岡を探す子。地図上から特産物を見つけだす子。巻末の統計から探す子。
「お茶だよ」
「うなぎかな?」
「先生にみんなの分を買うお金ないだろう。」
「じゃあ、うなぎのお菓子かな。」
開いた地図帳の気になるところを見て考え込む子。
『どうしたの?』
「昨日千葉の船橋から叔母ちゃんが来たんだけど、千葉の船橋を見つけたよ」
『あら、それは良かったねえ。』
地図帳を手に持たせることによって、活動がうまれ、視野が広がる。
おみやげは、食べ物が効果的。子ども達は食べたものは忘れない。
さらに、包装紙を教室にはっておき、教材化することも重要。
教師が何度もおみやげを買ってくると、いつの間にか、子ども達も旅行のおみやげを買ってくるようになる。一年間で20数枚のおみやげの包装紙がはられた年の暖かい地方の学習では、
「沖縄って言ったら、Tくんのおみやげを食べたっけねえ。」
「パイナップルのおかしだったよね。」
『あれは沖縄のどこだった?』
「名護パイン園。」
「名護だよ。」
(壁面にはった包装紙を見ながら)
おみやげをどのように提示するか、壁にはってある包装紙をどのように活用するか。そこで地図帳をどのように使わせるか。教師の力量が問われる。
確かな使い方の指導と使う回数を!
「授業のネタ 教材開発」1999 10月号