「家庭の教育力」の低下をどう防ぐか

 日々伝え合うことを通して

 平成8年の中教審答申以来、文科省は、家庭、地域の教育力の充実の必要性を強く述べてきた。
 中教審「新しい時代の義務教育を創造する(答申)平成17年10月」には、「学校の役割の重要性の再認識」として、いくつかの視点が述べられている。
 家庭の教育力が低下してきていることは誰の目にも明らかになっている現在、文科省の方向性を捉え、学校では具体的に何をすべきであろうか。
 学校外の多様な学習活動について、情報提供や支援を行い振興を図っていけば良いか。
 保護者や地域住民の教育活動や学校運営への参画を図れば良いか。
 私には、直接的に保護者を変えられるなどという大それた方法は思い浮かばない。
 そもそもたかが一介の教師が、大の大人をそんなに容易に変えうるものだとも思えない。
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 互いに同じ方向を向いて子どもの成長を見守る教師と保護者のつながりがあれば、子どもが変わることは勿論のこと、結果として親・家庭が変わることになり、ひいては教師も成長することになるのだと考える。
 私はそうしたつながりを求めて拙い実践を積み重ねてきた。
「家庭の教育力」の低下を防ぐ方法があるとしたら、そうしたつながりが生むものではないだろうか。
 そのためには、
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│ 学校での出来事を十分に家庭に伝え、家庭からの連絡を柔軟に       │

│      受け入れるツーウエイ                                                                                         │
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が必要不可欠だと考える。
 教師は、自分が思っている以上に保護者は学校のことを知らないものだということを認識しなければならない。(仕事に追われる二児の父である沼澤は、親としては自分の子どもの学校の様子を悲しいほど知らない。)
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  前述したつながりを生むためには、
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│ 授業の中に保護者も巻き込む      │
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ことが有効である。
 まずは、授業の様子をできるだけ具体的な記述で学級通信に載せることである。教材を通して学ぶ楽しさを子どもだけではなく、大人にも実感させることが大切である。そして、
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│ 子どもの学級の出来事を共有し合えるようにする        │
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ことである。
 子どもの言葉、感想、動きを学級通信、おたよりノート等で伝える。
 教室の中の出来事と、家庭の会話の垣根が低くなればなるほど、子どもたちの生活は落ち着き、保護者の協力が得られるようになる。また、一見関係ないようだが、忘れ物が少なくなったり、学力が高くなったり、生活態度が良くなったりする。

 

 そのための方法
①おたよりノート
 帰りの会に、翌日の持ち物や宿題、学級でおきたその日の出来事等、教師が板書したものを子どもたちが書いていくノート。
 保護者が読み終わった後の感想や家庭からの連絡を書くノートにもなる。
②日記
 家での出来事の記述から、授業での「はてな?」の追究、授業に関連した「はてな?」の発見へと広げていく。
③学年・学級通信
 学校での子ども達の様子を具体的に知らせ、学校と家庭をつなげる。授業記録や日記、学級の出来事を具体的に載せる。

 

 その瞬間をとらえる 5月30日
 中間休みに中庭で長縄跳びをしている子がいました。すると………。元気に跳んでいると、ちょっと転んで手をついて、それが三組の子のあさがおの鉢に当たって、鉢が倒れてしまいました。悪気があってのことではないので、仕方ありません。こういうことは、よくあります。私は、教えられてその場に行ってみました。鉢が倒れて、土がこぼれています。やっと出たばかりの芽もおれていました。
『教室に残った種があったから、それでがまんしてもらおう!』
 しょんぼりした顔が元気になってきました。しかし、倒れた鉢はそのままです。私が手で土を入れようとすると、その前にしている子がいました。
「手は、汚れたって、洗えばいいんだから。入れよう。」
お友達に呼びかけているのです。言われた友達は、一緒になって手で入れていました。良い場面です。すごいなあと思いました。
 お友達を誘って、みんなでいいことができて、みんなにすばらしいことを教えてあげて!
 ○○ ○さん、ありがとうね!
                         【1年2組学級通信ポンポコポンより】


 家庭での良い躾が表れた行動を見つけ、ほめる。子どもは、ほめられた方向に伸びる。その事実が家庭に伝わり認められたことが広まり強化される。

 

 おたよりノート    6月23日
┌─────────────────────────────────────────────────┐
│ あしたはすいえいをします。あらってもってきましょう。りっぱなかっぱになるぞ~     │
└─────────────────────────【一年生おたよりノートから】────────┘

┌──────────────────────────────────────────────┐

│ 子どもの手書きの連絡帳を読むのが楽しみなのですが、子ども達は先生の   │

│コメントを一字一字一生懸命書いている姿とコメントの内容が毎回楽しいので、│                       

│そのギャップがおもしろいです。                               │
└─────────────────────【6月30日保護者のおたよりノートから】──┘

┌──────────────────────────────────────────────┐

│ 毎日子どもが何かを連絡帳に書いて持ってくる。それを見るのが、すごく楽し │

│みなんです。慣れない字で、内容もおもしろかったり、かわいかったりして、    │

│「ちょっとおもしろくって、いい先生だねー。」                       │

│と笑いながら何度も読ませていただきました。後でわかりましたが、小さい「っ」 │    

│とか「ぷ」とかの勉強だったんですね。よ~くわかりました。               │
└─────────────────────【7月7日保護者のおたよりノートから】───┘

 快い笑いは温かいつながりを生み、保護者とのツーウエイを容易にする。
※詳しくは「子どもの笑顔で結ぶ保護者との連携」(明治図書)沼澤清一著をお読み頂ければ幸いです。
  「現代教育科学」(明治図書)2006 6月号