「新・現代っ子」の読書観
マンガは読書である
マンガは、子ども達の生活の中の大きな部分をしめている。
もはや、マンガを読書の中に入れるか、俗悪ととらえるか論じる段階ではない。マンガは、子ども達の生活の中にしっかりと根づいているのである。
新・現代っ子の読書観を語るには、マンガを抜きにしては考えられない。
アンケ-ト結果からも明らかである。
【アンケ-ト①】より
マンガの支持率は高い。
6年生(特に女子)が高くないのは、コミックを好む傾向があるためか。
【アンケ-ト②】より
コミックの人気は高い。
男子は女子より圧倒的にマンガ好きなのである。私は、ずっと逆だと思っていた。週刊ジャンプや関連するコミックが良く売れるという理由がここにあるのであろう。
コミックは学年が上がるにつれて良く読まれている。取り分け、女子の変化に驚かされる。
6年男子の立ち読みが増えたというのは経済観の成長といえる。
【アンケ-ト③④】より
男子は家にあるマンガの本が中心。
女子は低学年では家にあるお話の本が中心で、高学年になるにしたがってマンガの本のしめる割合が高くなってくる。
【アンケ-ト⑤】より
耳の痛い(目の?)所である。高学年になるにしたがって、最後まで読む子の割合が減ってくる。
子ども達の生活が時間的に忙しくなってくるという理由も考えられるが、マンガやファミコンなど、他に魅力のあるものが子ども達の周りに存在し過ぎるためであろう。
【アンケ-ト⑥】より
男子は、家で読んだマンガの本
女子は、お話などの本(家・学校)が一番心に残るという。
男子は絵から直接受ける視覚による読書であり、女子は活字を読み取るイメ-ジによる読書と言える。
マンガに向けられる子ども達の興味・関心は大きい。
マンガを活字文化の一面ととらえ、物語文に近いものととらえるべきである。ファミコン的な遊びにとらえてはいけない。
マンガには、手塚治虫氏の作品ようなロマンを与えるものと、暴力的なものや単なるおかしさだけを表すものがある。前者は当然認められるべきものであるし、後者は批判の目を育てる絶好の機会となり得る。
また、マンガは、子ども達が自分の実生活と重ね合わせて読み取ることができ、生活上のストレスを解消することができるもので、読むことによって満足感を得ることができるという面をもつ。そこに、子ども達の圧倒的な支持があるのである。
文学が主食であれば、マンガはスナック菓子のようなおやつである。もはや、なくてはならない存在になっている。
子ども達のマンガ文化の存在を認め、それを学校教育の場にどのように位置付けて生かしていくかがこれからの教師の役目といえる。
何しろ、教科書の中にもドラえもんが登場する時代なのである。
教師の読書観こそ変えなければいけない
※ アンケ-トは、どの学年も二百名近くの子ども達に書いてもらったものである。
数字は全てパ-セントである。
「授業のネタ 教材開発」(明治図書)1997 1月号